TLC - Waterfalls
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今回の英単語:Gaze(0:41)
意味:じっと見る、凝視する、興味を持って見る
息子の事を心配して見ている様子ですね。
すぐ後に出てくる「Stare」も同じような意味ですが、こちらは冷ややかに見る感じです。
【流されてしまうと後戻りできないよ】
アイドル路線からセクシー路線に切り替えてきたセカンドアルバムからの大ヒット曲です。
この曲は若者や少年少女らに向けたメッセージであり、応援歌でもある曲です。
初めて聴いた時は、イントロも曲調も明るく、ゆったりしたPOPテイストでタイトルも「滝」ですから、爽やかで明るい曲だと思っていました。
しかし曲を聴いていくうちに何かシリアスな事を歌っているように思えました。
アルバムの歌詞を改めて読むと、ストーリー性のあるメッセージソングであることがわかりました。
シンプルな演奏で彼女らの声がよく聞こえる感じの音になっており、メロディも複雑ではないので歌詞がよく届くようになっています。
メインヴォーカルのT-Bozの低い声で温かく語るような歌声とコーラスのチリの優しくふわふわしている歌声が印象的です。
そして後半はレフトアイが強く訴えるようなラップを聴かせてくれます。
AメロBメロは第三者的な語り手目線でストーリーを淡々と歌っています。
1番は手軽に大金を稼ごうとギャングとドラッグの世界に足を踏み入れる少年の話。
2番は予防せずにHIVの女性と関係を持ち感染してしまう男性の話。
当時よく問題になっていた事柄だった記憶があります。
そしてサビ前の一言で、聴く者の意識をハッとさせ、引き寄せます。
サビは聴いている人への切実な願いを歌っています。
「滝のような早くて強い流れに向かわずに今いる穏やかな環境にいて欲しい。」
「自分のやり方で人生を進めたいのはわかるけど、先を急ぎすぎないで欲しい。」
滝の手前は強くて早い流れになっていて、ハマると抜け出せなくなります。
そして滝から急降下して元の場所へは戻る事ができなくなります。
滝を人生に例えて、勢いに任せて落ちてしまったら後戻りできないと歌っています。
この人生を滝に例える歌詞、素晴らしいです。
子供が思春期ぐらいになって歌詞を見返すと、特に強く共感しそうです。
そして後半のラップ。
この曲の肝はレフトアイのラップ部だと思っています。
クールでありながら熱くもあり、聴き応えがあります。
元の歌詞、和訳を読んでもなんだか自分の理解力が追いつかないのですが、
「神様は見てくれているから、希望をなくしそうになっても前を向いて生きよう。」
「見逃してしまったチャンスは信念を持つことでまた取り戻せる。」
「環境のせいで負の状況に陥り、夢を持つ事が虚しくなることもあるでしょう。」
「でも自分自身を信じて希望を勝ち取ろう!私達も応援しているから!」
そういう力強いエールだと思っています。
ラップの最後「The rest is up to me and you」、この部分がとても好きです。
この部分があるからこそ、この曲のメッセージが聴き手に刺さるように思えます。
トップアーティストが聴き手と同じ目線で言ってくれているような感覚になるフレーズです。
彼女らが見てくれているなら…と正しい道へ歩むエネルギーになりそうです。
そして同時に自分の人生は自分にかかっている、つまりは自分の責任であると釘を刺しています。
「うちらが付いてるんだから、しっかりやんなよ!」とエールを送られているようにも感じますね。
PVは前述の歌詞の様子を描いたストーリー部と3人が歌う様子が映っています。
ストーリーはそれぞれ1番と2番に分かれており、どちらもサビ前に歌を止めて緊張感ある展開をじっくり見せています。
私は特に1番の少年の話が心に残っています。
詳しくはPVを見るとわかりますが、子供を持ってから見直すと、このシチュエーションは更に辛いです。
曲の後半に流れる続きの部分も凄く切ないですし…
2番のストーリーはちょっと怖いですね。
どちらも刹那の幸せのために大切なものを失ってしまう共通点があります。
その刹那の幸せが滝の流れということですね。
空をワープするように移動して場面を変える、そしてTLCの3人は水から変化して姿を現した事を考えると、彼女らは水の精霊という設定のようです。
水辺で歌い踊る彼女らの姿、麗しいですね。
ただ、当時から水のCGはちょっと違和感がありましたが…(^^ゞ
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