Mariah Carey – Through The Rain

2024年02月26日

back to 2002


今回の英単語:Mend (1:35他)

意味:繕う、修復する、改める、回復する

(失敗したとしても遠回りしたとしても)取り戻す力が私には十分ある。

人生に希望を持って生きていくために呪文のように呟きたくなる一節です。


【自分の信じた道を頑張って、掴め、栄光!】

90年代にシンデレラガール的にトップスターになったマライアさん。

しかし2000年辺りに移籍や元夫とのゴタゴタなどでまさかの低迷期に。

そして私も彼女から離れそうになった時にリリースされたのがこの曲です。

この曲で「歌姫」の彼女が戻ってきた事に興奮しました!

そしてこの曲の素晴らしさに一瞬で心を奪われました!

私にとっては「マライア・キャリー復活の曲!」という印象です。


オルゴールの音、そして優しいスキャットが「絶対いい曲」という期待を抱かせます。

その雰囲気のまま裏声メインで始まる歌。

抑えめの演奏と共にじんわりした温かみを感じます。

そして一番は裏声のままサビまで終わります。


そして二番はその雰囲気から少し強さを感じる歌い方になります。

裏声の合間に地声が混ざってきて力が出てくるような雰囲気です。

演奏も厚みが出てきます。

ドラムにピアノが加わり、ベース音も強くなります。

二番から入る指パッチンのような音が結構好きです。


二番のサビからCメロにかけての彼女の歌声にも注目です。

裏声と地声がコロコロと入れ替わり一体どうなっているのか何度聴いても不思議です。

そしてCメロで裏声メインから地声メインに徐々に変わっていく様がドラマチックです。


「セーーーイ イェーーーーーーーーーーーー イェーーーエイェーーーー」

からの盛り上がり方!

パワーチャージの時間です!


そこからの終盤、ほぼ地声でサビを力強く歌う場面は鳥肌ものです!

「自分の人生は自分で切り開いていってやる!」

と力強く立ち上がる姿が頭に浮かびました。

背中を押してくれる…というよりもグイグイ引っ張ってくれるパワーを感じる歌い方です。


序盤の優しさはそのまま、生きていく事への賛辞、未来を切り開くための気力ももらっているようです。

ピンチの後に爆発的にレベルアップする主人公のような気分にしてくれる魔法のような曲です。


そして最後にまた裏声に戻って優しく癒してくれるのがニクい!


歌詞はざっくり言うと

「苦しい時でも自分を信じて前に進んで行く!」という信念を歌ったものです。


タイトルにある「雨」が最初の一節に出てきます。

それがこの曲の中のマイナスな状況を表しています。

「苦しい時」、「打ちひしがれている時」、「落胆している時」、「寂しい時」、「不安な時」など…


一番のAメロとBメロで暗くなっている気持ちを様々な例えで歌っています。

「You」と言う言葉で色んな人がそれぞれ悩みを抱えていることを受け止めているように感じます。

英語の「You」が単数形でも複数形でも同じというのはこういう時に便利ですね。


一番のサビでは

「大丈夫。雨(苦しい状況)を乗り越えられるよ。」

と優しく励ますように歌ってくれます。


そして二番では前進する為のアドバイスをくれます。

「落ち続けても諦めないで。」

「あなたは無事に(転んでも)起き上がるから、しっかり進み続けて。」

と背中をポンッと押してくれる力を感じます。

そう言ってくれると

「そっか、大丈夫かな。」

と進むきっかけになりますね。


そこからのサビは日が射してくるような力と温かさを感じます。

立ち上がって前に進み始める感じですね。


そしてCメロ。

ここでまた風や影、つまり不安が襲ってきそうになります。

嫌なことを言う人々も出てきたりもします。

でも、もう前とは違います。


怖がることはありません、ピンと背筋を伸ばして立ち、パワーを解放します!

「雨でも乗り越えられる!」

「もう一度立ち上がれる!」

「やり直せる力がある!」

「怖くたって自分の信念を貫く!」

「もう一日、生きぬく!」

「雨でも乗り越えられる!」


そして最後にマライアさんが言ってくれます。

「そうよ、あなたならできるわ。」

「あなたなら雨を乗り越えていくわ。」


さて皆さん、この歌、主語がサビ以外とサビで「You」と「I」に切り替わっている事に気づきましたか?

サビ以外では主語が「You」。

サビ以外ではマライアさんがまるで女神のように迷える人々を見守っているようです。


そう、これは人生で行き詰まった「You」とそれを見守る女神マライアの話。

…というのは私の行きすぎた妄想ですが、お付き合いくださいw

「この解釈アリだな。」と思ってくれる人も1万人に1人位はいるのではないでしょうか。


サビ以外では女神マライアは迷える旅人「You」に「こんなことあるよねー。」と語っている感じです。

(そんな軽いノリではないでしょうけどw)

そしてサビでは女神マライアが

「はい!みんな言ってみて!」

と迷える旅人「You」に言わせているように感じます。

自分が言う言葉なのでサビは主語が「I」になります。


「私は、僕は、俺は…できる!」

スポーツの世界でもこんな風に自分に暗示をかけることがあると聞きます。

日本にも古くから「言霊」という言葉もあります。

つまりそういう暗示をかける呪文がサビの部分です。


もしかしたら「You」は女神マライアの力でレベルアップしたと感じているかもしれません。

しかし実はその力は「You」自身が本来持っていた力なのです。

つまり女神マライアは言葉の力を使って「You」たちの本来の力を引き出したのです!

そして最後の最後、女神マライアは

「あなたならできるわ。」

とサビの歌詞を引用し、主語を「You」にして励まし、見送っています。


歌詞のカラクリも面白いですね。

僕の妄想もなかなかのものですw


MVはある女性の家出から始まります。

親子で言い争っていたところ、娘である主人公が大切にしていたブレスレットがちぎれてしまいます。

そこから家を飛び出します。

ここまでの喧嘩になると只事ではありませんね。


そして乗り込んだタクシーがクラシックカーっぽいことから何十年か前の話というのがわかります。

そして彼女は黒人の彼氏と付き合っている様子が描かれています。

何十年も前のことですから彼女の親は娘が黒人と付き合っていることを許さなかったのかもしれません。


その合間に現在の時間としてマライアさんが怪しい雲行きの街で麗しく歌っています。

蝶をモチーフにしたアクセサリーが素敵です。

おっと、雨が降ってきました。


そして先ほどの娘さんの場面でも雨が降ってきました。

雨の中行き着いた先は、彼氏の家です。

彼女の親はタクシーを追って着いてきたようですが、諦めちゃいました。


そしてマライアさんは豪雨の中びしょ濡れで熱唱しています。

風邪ひかないか心配になりますね。


場面は変わり、若い二人はバスに乗ってどこかに旅立とうとしています。

そこへ引き止めに来た母親。

娘は一瞬迷った表情をするも、もう吹っ切るようにバスに乗り込みます。


大サビになって突然マライアさんが向日葵だらけの教会(?)で歌い上げています。


そしてまたあの二人の場面に。

二人は質素でも幸せな生活をしているようで、そこにも彼氏が一輪の向日葵を持ったシーンがあります。


現在ではマライアさんが凄く幸せそうに熱唱!

マライアさんの視線が動きません。

その先には年老いた白人女性と黒人男性。

そしてマライアさんの手首にはあのブレスレット!

そう、過去の場面に登場していたのは彼女の両親!

現在と過去を繋ぐ素敵な物語だったのです!


そしてこの曲の収録されたアルバム名は「チャーム・ブレスレット」!

なんとも色んな仕掛けがありますね。


さて、この曲のリリースは彼女の父親が亡くなったすぐ後でした。

色々ネットに情報がありますが、このMVは両親に対しての感謝を表したものというのは間違いですね。

マライアさん自身が公私とも苦しい境遇だった時代に放ったパワフルな応援ソング。

自分が苦しい時に周りをも元気にする歌を歌う彼女。

そう思うと一層感慨深くなりますね…

名曲です。


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